見習い樹木医の日々是勉強

樹木に発生する病害虫を診断できるよう、日々勉強しています。

もち病

もち病

 

症状:春の開葉期の後、しばらくして新葉、新芽、花芽の全体もしくは一部が餅のように膨らむ。これは病原菌が侵入感染することよって細胞が肥大するためである。肥大部分の表面に子実層が多数形成されてその先端に担子胞子が生じるので、膨らんだ部分が白い粉状に見える。被害部はやがて褐色に腐敗してミイラ状になる。

 

病原菌:担子菌類のモチビョウキン類に属し、それぞれの種の寄主範囲は狭い。

 

伝染環:罹患部の表面に菌糸層(子実層)が形成され、そこに担子器が形成される。そして担子器では担子胞子が形成され、その胞子が風雨とともに飛散する。飛散した胞子は新芽などの若い組織に侵入し伝染する。侵入した胞子は菌糸の状態で越冬し、翌春新芽の展開とともに活動を再開し、被害を及ぼす。

 

発生環境:降雨の多い時や、排水不良で湿度が高い時に発生しやすい。

 

発生しやすい樹種:ツバキ、サザンカツツジ、サツキ、シャクナゲ、クロキ、アセビ、ネジキ、チャなど。

 

防除法:罹患部の表面に白い粉状物が現れないうちに発病葉・花芽を摘去して焼却する。発病葉・花芽部をそのまま放置すると、その部分から病原菌が飛散して被害が拡大する。また、過繁茂の枝葉の剪定も風通しが良くなるので有効である。

 農薬を使用する場合は、発病初期に7〜10日間隔でかけむらのないよう丁寧に散布する。発病が多くなってからでは効果は期待できない。また、春先の薬剤散布は効果がないという報告もあるので、薬剤による防除には期待しない方が良い。現在(令和3年5月9日)、使用できる農薬としてはメプロニル水和剤(つつじ類)と銅水和剤(つつじ類、茶(摘採7日前まで))がある。

 

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