見習い樹木医の日々是勉強

樹木に発生する病害虫を診断できるよう、日々勉強しています。

さび病

今日はさび病について勉強します。

 

症状:いろいろな広葉樹の葉の裏やマツ類などの針葉に、橙黄色・黄褐色・赤褐色・黒褐色などさまざまな色調の粉状物(夏胞子堆)、表面が平滑ないぼ状の塊、粉が詰まった嚢状物(さび胞子堆)、房状の突出物、などが多数現れる。激しく発生した場合には早期に落葉することが多い。秋には葉の表面又は組織内に色の濃い、越冬用の冬胞子が形成される場合が多い。症状は枝部にも発生し、患部が肥大して奇形となったり、てんぐ巣症状になる場合もある。

 

病原菌:担子菌類の仲間であるサビキン類に属し、非常に多くの樹種に発生する。通常、広葉樹や針葉樹の葉身に発生するが、特に針葉樹の葉身に発生するものを葉さび病と読んでいる。さび病菌は生きた植物にしか寄生できない活物寄生菌で、生活環によって2通りに分かれる。一つは同一宿主植物体上で寄生を繰り返す菌、もう一つは2種の宿主間を移動して寄生する菌(異種寄生菌)。前者に侵される植物としてはイチジク、ブドウ、モモなどが、後者に侵される植物としてはナシ(赤星病)とビャクシン、アカマツ(葉さび病)とキハダなどがある。

 

 伝染環:同一宿主植物体上で寄生を繰り返す菌は、同一の植物に夏胞子をつくり、気温が低下するとそこに冬胞子をつくって越冬し、翌年、それが第一次伝染源となって病気を発生させて夏胞子をつくる。2種の宿主間を移動して寄生する菌(異種寄生菌)は、冬に一方の宿主に寄生し、春になるとそこに冬胞子をつくり、冬胞子の発芽で形成される担子胞子を飛散させ、それがもう一方の宿主に付着して発病する。その後、その病斑上に銹子腔をつくり、その中のさび胞子が飛散して再び元の宿主に付着寄生する。

 

発生環境:湿度が高いところで発生しやすい。

 

発生しやすい樹種さび病:マツ類、サクラ類、ビャクシン、イチジク、ブドウ、バラなど。赤星病:カイドウ、ナシ、リンゴ、カリン、ボケなど。

 

防除法:患部は早めに摘み取り、焼却して、伝染源を少なくする。降雨で発生が多くなるので、密植をさけ、枝葉が過繁茂にならないように管理する。薬剤を使用する場合、被害が激しくなってからの防除は困難なので、発生初期の防除に努める。薬剤の散布は、各世代の胞子が飛び散る時期に、1週間から10日おきに散布する。また、2種の宿主間を移動して寄生する菌(異種寄生菌)場合には、2種の宿主のうちいずれか一方を取り除けば病原菌の伝染環が断たれるので防除できる。

 

薬剤:ヘキサコナゾール水和剤、クレソキシムメチル水和剤、石灰硫黄合剤、メプロニル水和剤、マンネブ水和剤、キャプタン水和剤、イミベンコナゾール水和剤、マンゼブ水和剤、チウラム水和剤、銅水和剤など。ただし、これらの薬剤は個別の数種類にのみ登録されているので、実際に使用する際は登録の有無を確認すること。

 

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