近くの公園に植わっているヤマナシの葉に黄色い斑点が多数発生していました。
<症状と診断結果>
4月の中旬、ヤマナシの葉に複数の黄色い斑点を見つけました。
下は変色部をアップにした写真です。
黄色い丸いものがたくさん。何かの卵? 菌のようにも見えますが・・・。
被害葉を濡れティッシュと一緒にチャック付きのビニール袋に入れてしばらく放置した後の変色部を撮影したのが下の写真(5月初旬)。
ゼリー状になっていました・・・。
下は、5月下旬の写真です。変色部がしっかりしてきて葉の裏側に少し凹んでいます。
葉の裏側を見ると、房状のものができていました。
黄色く変色したところの裏側にいくつもできています。
(上の写真)右上はゼリー状ですね。
さらに、6月初旬、変色して落ちている葉が何枚もありました。
落葉の裏側を観察すると、ありました、房状物。接写したのが下の写真です。
さび病ですね。
ナシに発生するのは赤星病です。
ナシに発生する赤星病の生活環は下記のように複雑です。
- 冬はビャクシンに寄生
- 春になると冬胞子堆をつくり、そこに形成された担子胞子が飛散
- 飛散した担子胞子がナシの葉に付着し、赤星病が発生
- その病斑上にさび子腔をつくり、その中のさび胞子が飛散
- 飛散したさび胞子がビャクシンに付着。寄生して冬を越す
さび子腔というのが、5、6、8枚目の写真でしょうか?
この病害の発生には、近くにビャクシンが生育している必要があります。
探してみると・・・。ありました!
そして葉の先に下の写真のようなものが、見つかりました。
ビャクシンのさび病(ナシの赤星病)に関係のあるものなのかな?
しばらく観察することにします。
<防除方法>
ナシ赤星病の防除方法としては
- 発生初期に被害葉を摘み取り、焼却する
- 各世代の胞子が飛散する時期に殺菌剤を散布する
- 中間宿主であるビャクシンを取り除く
- 枝葉が過密にならないよう管理する
などがあります。
今回使用できる殺菌剤は
- キャプタン水和剤
- マンネブ水和剤
- メプロニル水和剤
- トリフルミゾール水和剤
- マンゼブ水和剤
などが登録されています(令和3年6月6日時点)。
さび病については、下記の記事もご参照下さい。